こういったリスクマネジメントを地震等の大災害時の緊急時対応に即して考えてみましょう
 2013年4月に施行された東京都の「帰宅困難者対策条例」が第一義の法的要件になりますが、実際の組織のリスク対応としてはこれだけでは適切ではありません

 条例以外にも、民法、労働契約法への対応、従業員の安全配慮義務も勘案しなければいけません。また、直後対応と合わせて人事や事業継続の観点からの事前準備が必要です。

 まず最初に考えなければならないのは安全に配慮する義務です。条例に従って
従業員が社屋内にとどまった場合、そこでの安全配慮は企業としての責任です。

 仮に、留まった社員が社屋内で怪我をする、或いは死亡したような場合、不可抗力と判断されなければ、民法上の損害賠償請求が発生する可能性があります。

 人事的な側面では特に休業の扱いとその場合の賃金、さらには派遣労働者への配慮が必要となります。

 緊急時を乗り切ったあと、事業再開に向けて人員確保をどのように行うかも考えなければいけません。

 自社の置かれている環境下での風評の発生も考慮に入れます。

 事業継続の観点からは、自社を軸として上流、下流を含めたサプライチェーンで考えなければいけません。
 供給が止まれば生産、販売はできないし、一般消費者へ生活必需品を提供していれば、供給余力をどの程度持っておくかも重要です。

 また、津波で自社情報機器、媒体の流出による漏洩もありえます。
 或いは、避難により無人となった社屋から情報が盗まれるということも考えなければいけません。

 事業継続において情報システムの復旧は必須の事項であるが、情報機器が破壊(流されたり)された状況下であれば、当然、他社も不足していることが予測されます。
 その場合に、新たな情報機器が調達できるのかといったリスクも考慮しなければいけません。